理想の中学受験とは?

『偏差値40台から開成合格! 自ら学ぶ子に育つ おうち遊び勉強法』という本が話題です。著者は現役の開成高校生(出版当時)で、本格的な通塾は6年の秋からにもかかわらず、家庭学習中心で開成中学に合格したそうです。お金も、時間も、苦痛も少ない、誰もが理想とする中学受験なのでしょう

 

国語力を向上する観点からも、さまざまな「おうち遊び」が紹介されていました。読解力を養う「読み聞かせ」、論理的思考力を養う「パズル」、表現力を養う「会話」、これらは私もまったく同意見です。そして、すべての基礎となる語彙力を養うため「カルタ」「しりとり」「音読」が推奨されていました。

 

本書の中で、私が特に注目したのは、開成学園元校長の柳沢幸雄先生のお話です。柳沢先生は中学受験を勧める理由として、

・早い段階で競争を経験するのはいいこと。中学受験は競争の最初の練習になる。

合否は重要じゃない。落ちたとき、失敗したとき、負けたときに、自分をどう御すか、どう対処するかを学ぶ場

・負けて初めて、人は打たれ強くなれる。

と仰っていました。

 

令和の時代に、正面から競争を肯定し、負けを経験することの大切さを語るのは、難しくなっています。確かに入試では、合格/不合格を突きつけられ、残酷な結果を招くかもしれません。しかし、長い人生で見れば、そこに至る「過程」で身につけた様々な力が、素晴らしい財産となるでしょう